リムスキー・コルサコフ「シェエラザード」

世界に通用する音楽を求めて

アラビアン・ナイトの世界をモチーフに作曲された交響組曲「シェエラザード」。

職業軍人の傍ら作曲をはじめたリムスキー・コルサコフは勉強家だった。

音楽理論を学びその成果を教科書にまとめ、ロシア音楽の発展に大きく貢献した彼の人生を辿る。

 

語りかけるシェエラザード

「アリババと40人の盗賊」や「アラジンと魔法のランプ」などのお話で有名なアラビアン・ナイト。この中に千一夜に渡って王様に物語を話して聞かせる女性が登場する。その女性の名前が「シエラザード」。リムスキー・コルサコフ作曲の「シェエラザード」は彼女の名前をモチーフに作られた交響組曲。4つの曲からなり、特に有名なのが随所に登場する「シェエラザードのテーマ」だ。バイオリンの独奏で演奏され、王様に話を聞かせる彼女の姿が浮かんでくるような美しくもせつないメロディ。

 

猛勉強の末に…

元々は海軍士官だったリムスキー・コルサコフ。幼い頃から音楽が好きで、最初は趣味で作曲をしていた。人生の転機となったのは、音楽サークルの先輩で作曲家でもあったバラキレフとの出会いだった。リムスキー・コルサコフの音楽的才能を見抜いたバラキレフは、本格的に作曲することを勧める。その結果、リムスキー・コルサコフの作曲技法は飛躍的に進歩し、21歳で交響曲第1番を発表。27歳でペテルブルク音楽院の教授に就任する。しかし、いざ教壇に立ってみると、生徒たちに対位法や和声すらまともに教えられない自分に気づかされる。それまでには、音楽を学問的に学んだことがなかったのだから…。以来、猛勉強を開始。バッハ、モーツァルトを初め膨大な楽譜を徹底研究。後にその成果は「管弦楽法原理」という教科書となって発表され、多くの後輩たちに読まれ、ロシア音楽の発展に大きく貢献する。

 

音の重ね方に技あり!

リムスキー・コルサコフの教科書「管弦楽法原理」から、1オクターブ離れた音を同時に演奏する「オクターブ重複」について、バイオリンや木管楽器を例に紹介。管弦楽法の大家と呼ばれたリムスキー・コルサコフの管弦楽の技の一端を垣間見る。