リスト「ラ・カンパネラ」

魔法の鐘が鳴り響く

鐘をイメージして作られたリストの「ラ・カンパネラ」

「ピアノの魔術師」と呼ばれた彼ならではのテクニックが散りばめられた鐘の響きの秘密に迫る!

 

モテすぎる魔術師

19世紀、パリの貴婦人たちをとりこにしていた一人の天才ピアニストがいました。神の手を持つとまで言われた音楽家、フランツ・リストです。鍵盤の上で、すさまじい速さで動く指、しなやかで強い手首。オーケストラにも対抗できるようなダイナミックな演奏と超絶技巧で「ピアノの魔術師」と呼ばれていました。目を見張るような演奏に加え、イケメン!という評判はヨーロッパ中に広まりました。中でも熱烈なファンたちは「リストマニア」と呼ばれ、現代のスターたちも驚くようなエピソードがいくつも残っているほどの人気ぶりでした。

 

あの鐘を鳴らすのは…

リストの名曲「ラ・カンパネラ」。実はこの曲、3回作られた作品なんです。そこには、3人の人物との出会いが影響していました。まず一人目は、天才バイオリニストと呼ばれたニコロ・パガニーニ。彼の作品に感動し、ピアノ曲にアレンジしたのが「ラ・カンパネラ」第1稿なのです。そして第2稿に導いたのが社交界を代表するマリー・ダグー伯爵夫人でした。二人で訪れた小さな街の教会の鐘が作品に影響を与えたと言われているのです。さらに、第3稿に導いたのがカロリーネ・フォン・ザイン・ウィトゲンシュタイン侯爵夫人です。 ピアニストとして人気絶頂でありながら自分の進むべき道に悩んでいたリストに「作曲家として音楽に向き合うべきだ」と助言します。リストは36歳の時にピアニストとしての活動にピリオドを打ち、作曲活動に専念。そして第3稿が生まれたのです。

 

ちょっとしつこい?鐘マジック

作品の中で繰り返し登場する音が「レ♯」。これが鐘の音を表す音といわれています。鐘の音を強調するかのようにさまざまな形で登場するのです。

1.鐘は1つではない

2.きらびやかな鐘

3.響き渡る鐘

ピアノの魔術師リストならではのテクニックが光る「鐘の音」。どうぞお楽しみ下さい。