フォーレ「シチリアーナ」


古きをたずねて新しきを奏でる

「シチリアーノ」「シシリエンヌ」とも呼ばれるこの作品。

ノスタルジックな雰囲気が漂う「古きをたずねて新しきを奏でる」作品の魅力に迫る!

シチリアーナ

古いはオシャレ

「シチリアーナ」とは17世紀から18世紀に流行した牧歌的で独特のリズムが特徴の音楽です。作曲したのはフランスのガブリエル・フォーレ。9歳で古典宗教音楽学校に入学し、中世、ルネサンスからバロック時代など、古い時代の響きに刺激を受けた事が、彼の作品に大きな影響を与えています。フォーレが活躍した19世紀後半、フランスでは自分の国、独自の音楽を生みだそうという気運が高まっていました。そんな中、注目されたのが、かつて一世をふうびした「バロック時代」。作曲家たちは、その時代の要素を作品に取り入れ新しい響きを生みだそうとしたのです。シチリアーナもその一つ。フォーレは伝統的な形式に、手を加えることで、作品に新たな命を吹き込んだのです。

 

信念一徹!イイものはイイんです

フォーレの性格は温厚、誠実、謙虚。そして60歳の頃、パリ国立高等音楽院院長に抜擢されます。そこでフォーレは、旧態依然とした音楽院の教育現場の改革に着手し、理想の音楽教育のために大きな困難にも立ち向かっていきました。こうした信念を貫く姿勢は、音楽作品にも表れています。フォーレは気に入ったメロディーを他の作品に取り入れることが数多くありました。「シチリアーナ」もその一つ。そもそもこの曲は、ある劇作品のために依頼されたものでしたが、あえなく未発表となります。その後、チェロ曲として出版し、さらには別の劇音楽に、その上また組曲版にも、この曲を選びました。現在ではフルートとピアノ等で演奏される機会が多い人気曲となっています。何度でもイイものはイイ!その思いを貫いたからこそ、今に伝わる名曲となっているんですね。

 

水先非案内人!?

「シチリアーナ」は基本的にゆったりとした8分の6拍子、もしくは8分の12拍子付点リズムが特徴です。その特徴を踏まえつつ、聴く者に「どこへ連れて行かれるの?」という不思議な印象を与える、フォーレのテクニックをお楽しみください。