シューマン「トロイメライ」

こどもの風景覚えていますか?作曲家シューマンが書いた「こどもの情景」の中の1曲、「トロイメライ」

「トロイメライ」とはドイツ語で「夢のような」「夢見ごこち」という意味。

シューマンが心に描いた情景を3つのキーワードでひもとき、魅力に迫ります。

「こどもの情景」から「トロイメライ」

 

あなたって◯◯ね

作曲家シューマンが「トロイメライ」を作曲したのは、恋人のクララと婚約していた頃。当時、クララの父親は、娘の結婚には猛反対!二人は会うことを禁止され、しばらくは父親に隠れて、手紙のやりとりを重ねていました。そんな中で生まれたのがこの曲です。シューマンがクララに宛てた手紙が残っています。

「いつだったか君はこう書いてきたね。『あなたって時々こどもみたいね』僕はその言葉の余韻の中で作曲し、『こどもの情景』と名付けたんだ。」

クララの言葉にインスピレーションを得たシューマンは13曲から成るピアノ曲集「こどもの情景」を発表しました。

その中の1曲が「トロイメライ」だったのです。

 

紹介します!僕の親友たち

小さい頃から内気で、空想が大好きだったというシューマン。父親が出版業を営んでいたため、詩を書くことや読書が好きで、「ファンタジーの世界」に魅せられていました。大人になり、音楽家として活躍しながらも、シューマンの空想力はさらに羽ばたいていきます。自ら創刊した音楽雑誌には、シューマンの頭にある“架空の人物“による記事がたびたび登場しています。

空想上のキャラクターを通して、自分の意見を多面的に伝える、というちょっとユニークな方法をとっていたのです。こうした豊かな空想力は、シューマンの音楽に大きく影響しています。

 

ゆ~らゆら

「トロイメライ」には、聴く者を夢見ごこちにさせる「ゆ~らゆらの秘密」があります。そのキーワードは、①拍子がゆ~らゆら。②夢と現実ゆ~らゆら。これらの仕掛けで、私たちは、知らず知らずのうちに「夢見ごこち」な気分になっていたのです!