モーツァルト「トルコ行進曲」


ブームに乗って走れ!

大人から子どもまで幅広く親しまれているモーツァルトの「トルコ行進曲」。

実はこの曲、若き日のモーツァルトの野心や計算から生まれた戦略的な作品だった…。

あなたの「トルコ行進曲」のイメージが変わります!

 

トルコ行進曲

みんなトルコに夢中♥

モーツァルトが「トルコ行進曲」を書いた1783年は、トルコの大軍がウィーンを包囲した歴史的な戦いからちょうど百年の記念の年でした。ウィーンの街ではかつての敵国トルコへの関心が高まり、市民生活から芸術まで様々な分野で空前のトルコブームが巻き起こっていたのです。これに乗ったのが、ベートーベン、ハイドン、そしてモーツァルトでした。彼らはこぞって、打楽器が活躍するトルコ軍楽隊の音楽をとり入れた「トルコ風」な曲を作曲したのです。

 

ウィーンで成功をつかめ!

1756年、ザルツブルクに生まれたモーツァルト。この街で宮廷音楽家として働いていましたが、25歳の時に大司教コロレドと決裂、ウィーンへの移住を決断します。この新天地で成功するために目を付けたのが、当時のウィーンで大人気だったピアノという楽器でした。そして当時としては異例な手法をいくつも用いた、「トルコ行進曲付き」のピアノ・ソナタを作曲します。それは、ピアノという楽器で成功をつかもうという、若きモーツァルトの野心から生まれた音楽でした。

 

左手のトルコ!?

「トルコ行進曲」の左手に注目!左手は曲の冒頭から、アクセントのはっきりした力強いリズムを刻みます。それはトルコ軍楽隊の打楽器が打ち鳴らすリズムから影響を受けたものでした。そして、わざと和音をずらして演奏することによって、あたかも多くの打楽器が一斉に鳴らされているかのように響く作曲術も。「左手にトルコを感じてほしい」、それがモーツァルトが楽譜に込めた思いでした。