リストの恋物語

リスト(1811年〜1886年)
 元恋人による暴露本。不思議な三角関係-女性たちを虜にしたスーパースター
ハンガリーに生まれ、ドイツやオーストリアなどヨーロッパ各国で活躍したピアニスト・作曲家。
 リストは幼少のころから並外れたピアノ演奏のテクニックで人々の注目を集めていた。 そのようなリストの一生は女性とともにあり、数々のスキャンダルがあった。リストはクラシック史上もっとも美男子だったといわれている。長身で目鼻立ちはよく、しなやかな長髪、ほっそりとした美しい指。さらにはファッションセンスも抜群であった。自己中心的な性格ではあったが外向的で人情に篤かった。
 19世紀に入り、音楽が貴族や教会だけのものでなくなり一般市民も楽しめるようになってきた。市民が対象となると、演奏会場もより大きく、より分かりやすい音楽に変化してくるのは自然の流れである。リストは大衆が分かりやすいように、情熱的で超絶的な技巧を駆使し、ピアノの音量も派手めに展開してゆく。
 演奏会ではピアノの前に座ると長い髪をかきあげ、演奏前に目を瞑りながら、おもむろにピアノを演奏し始める。陶酔したように情熱的にピアノを弾きあげる。演奏会にきている女性たちは、かっこよさに、泣き叫び、失神する女性まで出たほどである。リストがわざとピアノの上に手袋を忘れ、それを奪いあう女性の逸話がある。今でいう、ロックスターのような存在で、彼に熱をあげる女性は数知れずいた。
 リストはピアニストのマリー・モーク、そしてマリー・ダグー伯爵夫人との関係は不思議なものだった。
 マリー・モークはベルリオーズと婚約破棄騒動を起こした美しく恋多き女性であった。マリー・モークはピアノ・メーカーの御曹司夫人であるが、リストと出会って不倫関係になる。しかも二人が逢引に使った部屋がショパンの部屋だった。リストはショパンの部屋の鍵を預かっており、それを利用していた。ショパン怒りリストと距離を置き始めます。このピアノ・メーカーの御曹司、つまりマリーの夫とリストは友人同士だった。
 それから3年後、リストはマリー・ダグー夫人と出会う。リストとマリー・ダグー夫人は出会った瞬間恋に落ち、駆け落ちをしてしまう。二人の間には子どができ、そのうちの一人がワーグナーの妻になるコジマである。マリー・ダグー夫人とリストが付き合っている間に、ショパンの恋人ジョルジュ・サンドが登場。実はこのサンド、同性愛者でもありマリー・ダグー夫人とも関係をもちながらリストとも関係をもっていた。この三人は奇妙な三角関係にあったが、仲良く三人で旅行に行ったりフリーな恋愛関係があった。その関係は4年で終わるが、マリー・ダグー夫人はリストと別れた後、リストとの関係を暴露するような小説「ネリダ」を出版し、リストの評判はますます高まっていった。
 女性にもてすぎたリストであるが、結婚を考えた女性がひとりいた。それがカロリーネ・ヴィトケンシュタイン侯爵夫人である。カロリーネはリストが付き合ってきた、美しく恋多き女性とは異なり敬謙なカトリック信徒だった。
 リストは女性にモテながら、若い頃から聖職者になる憧れがあった。カロリーネとリストは不倫関係になり、同棲をはじめた。カロリーネは早く離婚して不倫という状態から抜け出したかった。一緒に住み始めて10年後、離婚が成立かと思った矢先、相続絡みの嫌がらせが入り結局離婚ができなかった。カロリーヌもリストもこれをキッカケに、聖職者の道を進むことになる。リストは神父の地位までたどりつくが、その後も相変わらず女性問題を起こしていた。