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フラ・アンジェリコ(1390年/1395年頃〜1455年)
フラ・アンジェリコは初期ルネサンス期のフィレンツェを代表するイタリア人画家。本名はグイード・ディ・ピエトロで、フラ・アンジェリコは「修道士アンジェリコ」を意味する通称。「アンジェリコ」は「天使のような人物」という意味である。イタリアでは存命時に「福者アンジェリコ」を意味するベアート・アンジェリコとも呼ばれており、宗教的モチーフを題材とした絵画を描く才能に優れていたことに由来していた。
受胎告知
1430-32年頃 194×194cm | テンペラ・板 |
プラド美術館(マドリッド)
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フィレンツェ北部フィエゾーレのサン・ドメニコ聖堂の祭壇画のひとつである。新約聖書ルカ福音書第1章に記された、父なる神の意思により、聖母マリアに対して無原罪にて神の子イエスを宿したことを大天使ガブリエルが告げる場面である。主イエスの生誕に纏わる逸話の中で最も有名な話のひとつである。
前景として画面中央からに描かれる「受胎告知」の場面は、左に聖胎を告げる大天使ガブリエルを、右へ軽く驚きつつも聖告を受け入れる聖母マリアを配している。その神々しくゴシック様式の厳格性に富んだ表現は観る者を強く惹きつける。さらに明確な輪郭線と黄金色の使用による描写が本主題の聖性をより強調している。一方、後景として左側には神の命により禁断とされていた知恵の実(知識の実)を食べたことにより楽園を追放されるアダムとエヴァの姿を描き、神の子イエスの正統性と絶対性を暗示させている。ルネサンスの到来を感じさせる室内の遠近的表現や画面全体から放たれる輝くような色彩の美しさなど特筆すべき点は多い。
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