健康食品の誇大広告

【 健康食品の誇大広告】 昭和60年(1985年)

 少年少女向けの雑誌などに「1日、1粒飲むだけで背がぐんぐん伸びる」と宣伝して、カルシウム剤「ハイセボン」を販売していた業者が摘発された。ハイセボンはこのような詐欺まがいの広告で、それを信じた中学生や高校生約20万人に売りつけていた。牛骨を原料としたハイセボンの原価は1瓶150円だったが、業者は4800円で販売して12億円を荒稼ぎしていた。

 現在、日本人の平均身長は男性170.4cm、女性158.2cmだが、多くの若者は身長を少しでも伸ばしたいという欲求を持っている。もちろんカルシウムの摂取によって背が伸びるとは限らない。むしろカルシウムは骨の軟骨層の石灰化を促進することから、逆効果とする説もある。

 身長は遺伝と関係しているが、だからといってあきらめてはいけない。身長を伸ばすには、<1>しっかり運動し、軟骨へ栄養を行き渡らせる<2>タンパク質を多く取る<3>睡眠中に成長ホルモンが分泌されることから熟睡することが重要である。

 身長にはホルモンが大きく影響することから、思春期が早く来ると急に背が伸び、早い子供ほどすぐに身長が止まってしまう。背の順に並んだとき、小学校で後ろだったのに、中学生になると追い抜かれてしまう現象がそれに相当する。

 健康食品は、いつの時代でも雰囲気だけで儲かる。健康食品は、医薬品ではないので特定の病気に効くとは書けないが、それをにおわせる誇大広告で売りつけるのである。売り方の特徴は、即効性をうたうこと、使用者の体験談を載せること、有名人の名前を使うこと、そして値段を高く設定することである。この方法は今も昔も変わりはない。

 健康食品の定義は難しいが、「健康という弱点につけ込んだ金儲け」と表現するのが適切であろう。ところで最近のインターネットでは、健康食品だけでなく、成長ホルモンまでも堂々と販売されている。インターネットの恐ろしさを感じさせる。