白ろう病

【白ろう病】昭和50年 (1975年)

 昭和30年頃から、国有林の伐採作業用にチェーンソー(自動のこぎり)が導入され、昭和35年頃から、林野庁の作業員に手指のしびれや痛みを訴える者が出てきた。チェーンソーの使用で、作業員の末梢血管がけいれん収縮し、末梢神経が冒されたためである。これは振動病の1つで、チェーンソーだけでなく、削岩機、鋲打機、研磨機、電動ドライバー、刈り払い機などによって引き起こされた。

 上肢のしびれ、痛み、冷感をきたし、手指がロウソクのように真っ白になることから「白ろう病」と名付けられ、昭和50年末までに2797人が職業病として認定されている。

 白ろう病の予防は振動工具の使用を中止し、寒冷刺激にさらさないことである。治療としては、温浴療法などの物理療法のほか、血管拡張剤、鎮静剤、向神経性ビタミン剤などが使用されるが効果は少ない。昭和50年10月19日、全林野労働組合は林野庁長官を傷害罪で告訴した。