自閉症

【自閉症】昭和43年(1968年)

 昭和43年5月19日、東京・青山学院大学で、第1回「自閉症児親の会全国大会」が開催され、全国から自閉症の親の代表約300人が参加した。

 自閉症は脳の中枢神経に何らかの先天性の機能障害があり、そのために生じる発達障害である。原因は分からないが、生まれつきの障害で、親の育て方やストレスなどの環境によって生じるものではない。発生頻度は約500人に1人で、寡黙で内気な性格を自閉症と誤解されやすいが、まったくの間違いである。

 自閉症は知的障害を伴うことが多いが、知的障害を伴わない自閉症(知能指数70以上)を高機能自閉症、またはアスペルガー症候群と呼んでいる。自閉症の根本的治療法はないが、早期発見や適切な教育によって自閉症の子供の発達は違ってくる。

 自閉症の症状は、他人とのコミュニケーションが困難なことで、自分の考えを伝えられず、混乱からパニックを起こすことがある。興味や関心が偏っていて、同じことを何度も繰り返す特徴がある。それが正常範囲内の隔たりなのか病的異常なのか、専門医でも自閉症の診断は難しい。そのため自閉症の診断を下せるのは、子供が4歳から5歳になってからとされている。

 自閉症の患者は約24万人とされ、自閉症は法律上障害者と認められず、福祉サービスや年金の対象になっていなかった。そのため日本自閉症協会は、自閉症患者の教育、福祉、雇用を保障するように運動を続け、その結果、平成16年に自閉症の援助などを定めた発達障害者支援法が成立した。