人工肝臓の手術に成功

【人工肝臓の手術に成功】昭和33年(1958年)

 昭和33年11月15日、日本医師会館で開催された日本外科学会で、東京大学医学部外科・木本誠二教授が人工肝臓の手術に成功したと報告した。肝硬変で肝性昏睡に陥った患者の血液と4頭の犬の血液をセロファン膜で接触させ、患者の肝機能の回復を図ったのである。

 患者の血液中のアンモニア値は半分になり、意識が回復、患者は1週間後に死亡するが、現在においても肝臓機能を代用できる人工肝臓は完成していないことから、一時的な補助肝臓と考えられる。

 昭和39年、同じ木本教授が慢性腎不全患者に生体腎移植を行った。永久生着を目指した本格的な腎臓移植の幕開けであった。同年、千葉大学の中山恒明教授らによって肝臓移植が行われたが5日目に死亡している。スターツルによって世界初の肝臓移植が行われた翌年のことであった。肝臓移植の第2例目は昭和44年に行われ、以後、平成5年まで遺体からの肝臓移植は行われていない。