女子ヤリ投げ選手が性転換手術

【女子ヤリ投げ選手が性転換手術】昭和29年(1954年)

 昭和29年2月11日、女子ヤリ投げ選手・堤妙子さんが性転換手術を受け男性となった。堤さんは尿道の下方が裂け、女性性器のように見える尿道下裂という奇形で、もともとは男性だった。堤さんを取り上げた助産師が女の子と言ったことから女性として育てられてきた。

 堤さんは福岡県・大川高校時代陸上競技で優勝し、社会人となってからも競技を続け、3年連続で女子ヤリ投げ大会で優勝した。本人にとっては優勝の名誉が重荷となり、我慢できずに手術に踏み切ることになった。

 尿道下裂の頻度は軽度例を含めると1000人から1500人に1人とされている。オチンチンの先端にある尿の出口(尿道口)が正常な位置より後方にあるため、外見から男女児の判断できない場合があるのである。今では染色体検査で性別を判定できるが、当時はそのような検査はなかった。尿道下裂は1歳を過ぎた時点で手術するのが一般的である。