健康優良児

【健康優良児】昭和28年(1953年)

 昭和5年から全国で健康優良児の表彰が行われた。この健康優良児の表彰は、東京朝日新聞が文部省の後援を得て始めたもので、戦後の欠食児童が多い時代に、各学校で盛んに競われていた。身体の発育や健康状態がよく、学習成績、運動能力に優れている児童が選ばれた。

 体格が平均よりも大きく、目も良く、虫歯のないことが絶対条件であった。さらに成績も優秀でなければいけなかった。各小学校がこの条件をみたす男女児童各ひとりを推薦し、各郡市に集められた児童は運動能力テスト、医師による健康診断、教師による面接によって審査された。

 この大会は全国大会まであって、総合成績で優秀な児童が表彰された。健全な青少年を育てようとする企画なのだろうが、この制度は子供心には嫌な気分であった。優れた児童の表彰は、それ以外の大多数の児童への差別であった。振り返ると健康優良児とされた児童は、「先生の言うことに従順な肥満児に近い児童」が多かった。この制度はすでに廃止されている。