淋病感染事件

【淋病感染事件】昭和24年(1949年)

 昭和24年2月、山形県の上山温泉二日町の共同浴場を使っていた3歳から15歳までの少女84人が淋病に感染し1人が風眼に罹患した。風眼とは、淋菌が目に入り盲目になることである。この共同浴場は低温であったため、淋菌が繁殖し以前から問題になっていた。本来衛生的であるべき浴場で、少女たちが性病にかかったのであった。

 昭和22年の淋病患者は、届け出数だけでも20万人を超え、当時は女の子が銭湯で淋病にかかる例があった。そのため親たちは銭湯の入り方を子供たちに注意するのが普通であった。女の子は洗い場でお尻をつけてはいけない。タオルを床に置いてはいけない。身体は下から洗うのではなく上から洗いなさいと事細かく注意していた。

 昭和32年に売春防止法が施行され、またペニシリンの登場により淋病は少なくなり、性交以外で感染することはまれとなった。しかし注意するに越したことはない。淋病に感染している男性が性交で相手に感染させる確率は50%で、この病気がやっかいなのは、女性が感染した場合、ほとんどが無症状であるにも関わらず、約30%が不妊症になることである。男性の場合は不快感や痛みなどの自覚症状があるので、これらが治療のきっかけとなる。自然に改善する軽症例もあるが、多くは抗生剤によって治療された。