フランシス


サム・フランシス

Sam Francis, 1923年 - 1994年)
 
アメリカの画家。カリフォルニア州
サン・マテオに生まれ、カリフォルニア大学バークレー校で植物学を専攻した。第二次大戦中、空軍パイロットを志願したが、飛行訓練中に事故を起こし1年間入院。入院時に、退屈を紛らわせるため絵を描きはじめた。入院中にエル・グレコの絵に出会い、もしグレコの絵がなかったら、多分自分は死んでいただろうと語るほど、絵画の魅力に目覚めた。退院すると絵を学ぶためパリに留学する。パリの空を描いた作品『ホワイト』をはじめ、白を基調とした作品を次々に発表、後に「ホワイトペインティング」の時代と呼ばれるようになった。昭和32年、フランシスは日本を始めて訪れ、大岡信や大江健三郎、岡本太郎や今井俊満、勅使河原蒼風、瀧口修造、東野芳明といった日本の詩人や小説家、画家、美術評論家等と親交を結んだ。ここにならべた人名からも、当時の日本とかかわりの深いアーティストだったことが分かる。訪日以後の彼の作品は、余白を生かした画面構成、美しい色彩、にじみなどの効果を生かすようになり、この表現は日本美術の影響とされている。ニューヨーク、パリのほかに東京にもアトリエを持ち、しばしば来日、日本の文化人とも交流があった。また、出光興産社主であり、東洋古美術のコレクターとして知られた出光佐三は、フランシスのコレクターとしても知られ、東京の出光美術館に300点もの作品が収蔵されている。無意識に美しさを感覚で捉えて表現する探究心は、禅の世界にも通じる感覚である。 フランシスは抽象表現主義の流れを汲む美を求め続けた色彩画家である。
日本国内の主な作品
    サーキュラー・ブルー(1953)(滋賀県立近代美術館)
    メキシコ(1957)(大原美術館)
    消失に向かう地点の青(1958)(愛知県美術館)