真赤な太陽

 昭和42年に発売された「真赤な太陽」は演歌の女王・美空ひばりが、真っ赤なミニスカートで歌った曲である。
 美空ひばりがジャッキー吉川とブルーコメッツの5人をバック・バンドに従えて歌った。グループ・サウンズが全盛期のこの頃、ジャッキー吉川とブルーコメッツは「ブルー・シャトウ」の大ヒットを飛ばし、日本レコード大賞受賞したばかりだった。それをバック・バンドに従わせるのだから、さすが女王である。

 この曲は「歌は我が命~美空ひばり芸能生活20周年記念」のアルバムに収録する曲であった。ひばりのスタッフの中で評判が高く、ひばりの母・加藤喜美枝もシングル化を推したことから、アルバムからのシングル・カットとして発売されることになった。美空ひばりは、グループ・サウンズなどの新しい音楽が現れた音楽界で、このまま演歌路線だけでは時代の流れについていけなくなると判断したのである。

 本曲はグループ・サウンズの雰囲気があり、歌番組では当時30歳のひばりが初めてのミニスカートで、ゴーゴーダンスを踊りながら歌うなど、それまでのひばりのイメージとは大きく異なっていた。ひばりの新境地が垣間見えた楽曲であった。結果的に、ブルー・シャトウには及ばなかったが、140万枚の売り上げるミリオンセラーとなり、記録的な売り上げを残した。これは美空ひばり自身のシングル売り上げ枚数第4位に相当する。「真赤な太陽」は後に多数のシンガー、ミュージシャンにカバーされている。


まっかに燃えた 太陽だから
真夏の海は 恋の季節なの
渚をはしる ふたりの髪に
せつなくなびく 甘い潮風よ
はげしい愛に 灼けた素肌は
燃えるこころ 恋のときめき
忘れず残すため
まっかに燃えた 太陽だから
真夏の海は 恋の季節なの

いつかは沈む 太陽だから
涙にぬれた 恋の季節なの
渚に消えた ふたりの恋に
砕ける波が 白く目にしみる
くちづけかわし 永遠を誓った
愛の孤独 海にながして
はげしく身をまかす
いつかは沈む 太陽だから
涙にぬれた 恋の季節なの
恋の季節なの 恋の季節なの
恋の季節なの 恋の季節なの


歌:美空ひばり     作詞:吉岡 治     作曲:原 信夫