三百六十五歩のマーチ

水前寺清子
 水前寺清子、本名:林田民子は昭和20年、熊本県熊本市の商店街で生まれ、小学校まで同地で過ごす。愛称の「チータ」は動物のチーターとは直接の関係はなく小柄だったためである。芸名の水前寺は故郷・熊本市の水前寺成趣園から、清子は熊本の武将加藤清正から取ったものである。15歳の時に出場した「コロムビア歌謡コンクール」で2位になる。その後、11回もレコーディングをしたが、レコードデビューはできなかった。水前寺清子は畠山みどりが歌う予定だった「袴を履いた渡り鳥」を「涙を抱いた渡り鳥」とタイトルを変へ念願のデビューを果たした。
 三百六十五歩のマーチは、昭和43年に発売された水前寺清子の23枚目のシングル。それまで演歌を歌い続けた水前寺がリリースした歌謡曲ナンバーで、題名の通り一日一歩ずつ歩み続ける人生を励ますマーチ調の曲である。ジャケット写真もそれまでの着物姿から、鼓笛隊のコスチューム姿の水前寺がバトンを手にしたものになっている。
 当初、水前寺は演歌歌手であるプライドから、英語の「ワンツー」という歌詞の本曲に驚き、この曲を聞いた時にはイメージとはかけ離れた行進曲スタイルの曲に拒否反応を示した。作詞した星野哲郎は「息の長い歌手でいるには、違うタイプの歌も歌えなくてはいけない」との思い曲を作ったとのこと。しかし、その親しみやすいメロディーと水前寺の景気の良い歌声が評判を呼び、累計では100万枚を越える売り上げ、水前寺の代表曲となった。第41回選抜高等学校野球大会の入場行進曲に選ばれたほか、第11回日本レコード大賞大衆賞、第2回日本作詩大賞大衆賞を受賞した。
 1970年からは視聴率56.3%を記録したTBSの連続ドラマ「ありがとう」に主演し、石坂浩二との恋を演じた。しかし水前寺が歌手活動に専念したいと、第3シリーズで降板し、第4シリーズから主演が佐良直美に交代した。
 1994年にサントリーフーズよりC.C.レモンという清涼飲料水が発売になり、そのCMソングを歌ったことで話題になった。NHK紅白歌合戦には1965年から22回連続出場し、そのうち紅組の司会を4回務めた。