ポリーニ

マウリツィオ・ポリーニ(1942年〜 )
 イタリアのミラノ出身のピアニスト。5歳からピアノを学ぶ。15歳でジュネーブ国際コンクール第2位(アルゲリッチは女性部門で1位)。1958年の同コンクールで1位なしの第2位。1959年のポッツォーリ・コンクールで優勝。1960年、18歳で第6回ショパン国際ピアノコンクールに審査員全員一致で優勝。審査委員長のルービンシュタインが「今ここにいる審査員の中で、彼より巧く弾けるものが果たしているであろうか」と賛辞を述べ、一躍国際的な名声を勝ち取る。

 ポリーニのピアの特徴は、完璧性と超絶技巧である。演出困難とされる細かなパッセージを難なく奏出し、感情や主観といったものに溺れない格調高い演奏をする。完璧な演奏を求める姿勢、演奏にかける情熱には凄味があり、その凄味は巨匠となった現在でも健在である。精密機械のようなテクニックを持っているゆえに、テクニックばかりが独り歩きしてしまい、クラシック音楽家に必要な、表現力の足りなさが批判されることがある。おそらく天才としてマスコミが煽りすぎ、偶像だけが先走り、演奏すべてに完璧なものを求められたがゆえのことである。
 2002年、東京でも演奏会を開き注目を集めた。日本文化への関心が高い。京都、奈良には何度も通い、神社やお寺などに行っている。紫式部の源氏物語のファンであり、黒澤明の映画、武満徹の音楽も好む。