五嶋みどり


アメリカを拠点に活躍する大阪府枚方市出身の日本のヴァイオリニスト。母は五嶋節、弟はヴァイオリニストの五嶋龍。
 2歳の時、ヴァイオリニストであった母・五嶋節が数日前に練習していた曲を正確に口ずさんでいたことからその絶対音感を見出され、祖母が、3歳の誕生日に1/16サイズのヴァイオリンを買い与え、6歳の時、大阪で初めてステージに立ち、パガニーニの「カプリース」を演奏した。
 8歳の時、演奏を録音したテープをジュリアード音楽院に送り、入学オーディションに招かれた。ジュリアード音楽院においてディレイ教授の下でヴァイオリンを学ぶ(入学オーディションではバッハの「シャコンヌ」を通しで演奏して審査員を驚かせた)。11歳で、ズービン・メータ指揮のニューヨーク・フィルハーモニックとパガニーニの「ヴァイオリン協奏曲第1番」第1楽章で米国デビュー。
“タングルウッドの奇跡”
 1986年、ボストン交響楽団と共演したタングルウッド音楽祭で起きた。レナード・バーンスタインの指揮で、「セレナード」第5楽章を演奏中にヴァイオリンのE線が2度も切れるというアクシデントに見舞われた。当時みどりは3/4サイズのヴァイオリンを使用していたが、このトラブルによりコンサートマスターの4/4サイズのストラディヴァリウスに持ち替えて演奏を続けるも、再びE線が切れてしまう。2度目は副コンサートマスターのガダニーニを借りて、演奏を完遂した。これにはバーンスタインも彼女の前にかしずき、驚嘆と尊敬の意を表した。翌日のニューヨーク・タイムズ紙には、「14歳の少女、タングルウッドをヴァイオリン3挺で征服」の見出しが一面トップに躍った。また、この時の様子は、「タングルウッドの奇跡」として、アメリカの小学校の教科書にも掲載された。
社会事業の展開。
早くから社会事業に関心を持ち、1992年に「みどり教育財団)」をアメリカで設立。
2001年、心理学を専攻していたニューヨーク大学ガラティン校を卒業。その後、同大大学院修士課程を修了し心理学の修士号を取得。
2002年「みどり教育財団(Midori & Friends)」東京オフィスを改組し、特定非営利活動法人「ミュージック・シェアリング」として新たに日本法人を発足した。2006年より、開発途上国での社会貢献型の演奏活動を開始。
2014年「最優秀クラシック・コンペンディアム賞」が、クリストフ・エッシェンバッハ指揮、NDR北ドイツ放送交響楽団によるアルバム『パウル・ヒンデミット作品集』(全3曲)に対して授与された。五嶋は、このアルバムの全3曲中、2番目の曲(ヴァイオリン協奏曲)でソリストを務めた。

得意とするレパートリーはモーツァルトやシベリウスの協奏曲、パガニーニの『24のカプリース』全曲およびその他の協奏曲、ベートーヴェンやフランクのヴァイオリンソナタ。またエルガーのヴァイオリンソナタやシマノフスキのヴァイオリン曲集など。