ルネッサンスとは

 ルネサンスとは「再生」「復興」を意味する言葉で、14世紀 - 16世紀にイタリアを中心に西欧で興った古典「古代の文化を復興」しようとする歴史的文化革命あるいは運動を指す。
 キリスト教が西欧に広まると、異教であるローマ・ギリシャ文化は厳しく取り締まられました。しかし、十字軍の遠征などによって古代ギリシャ文明を知ることにより、西欧の人々は大きな衝撃を受けて始まったのがルネサンスである。

 ルネサンスはイタリア(フィレンツェ、ローマ、ミラノ、ヴェネツィアなどの都市部)が中心となって始まり、その後西欧諸国にも広まっていく(このサイトでは、イタリアルネサンス以外の西欧で興ったものを北方ルネサンスとして分類する)
 学芸を愛好し、芸術家たちを育てたパトロンとして、フィレンツェのメディチ家が最も有名である。また、ルネサンスの3大巨匠として知られる、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロは、美術史の中で偉大な存在として君臨している。

 ヨーロッパは新航路の発見や印刷機の発明などで活気づき、中世の教会中心の文化から、個性を尊重し人間性を解放させたギリシア・ローマ文化が復活した。ギリシア・ローマ時代、芸術や文化は人間性に重点をおいていたが、キリスト教が広まるとともに芸術や文化はキリスト教を礼賛し、キリスト教の布教に重点がおかれた。

 人間は神によって神の姿に似せて創られたが、その霊魂は生まれながらにして堕落している。もし救われて天上界に行きたいのならば、神を信仰し、神に奉仕する以外に道はない。このような宗教観が中世の人々を支配していた。人間の救済や向上さえも、神の意志によって行われるとされていた。それゆえ中世の人々は、庶民、王侯、愚者、賢者を問わず、すべての人々がローマ法王を頂点とするキリスト教会に奉仕し、ひたすら神のために尽くし、神を信仰することを生きる基礎としていた。 

 このキリスト教中心のヨーロッパ文化に大きな転換をもたらしたのが、イタリアルネサンスである。つまりルネサンス=「キリスト教からの解放」だった。もちろんキリスト教の世界観が、この時代に終わりを告げたわけではない。ローマ法王は絶大な力を持ちながら、中世のキリスト教絶対主義的世界観に人間中心の世界観がしだいに入り込んできたのである。暗黒時代と呼ばれた中世に終わりを告げた。
 ルネサンスが14世紀後半のイタリアから興きたのは、イタリアが世界貿易によってヨーロッパ随一の富を貯えただけでなく、その開かれた精神によって新しい時代を導いたからである。フィレンツェのメディチ家のロレンツォ公が擁護者となり、知性的集団「プラトン・アカデミア」がその思想的中心になり、ルネッサンスが花ひらいたのである。

 

ルネッサンスがイタリアで起きたのは、具体的には、

第1  東方貿易でイタリアが非常に裕福になったことによる。東方貿易とは、北イタリア諸都市と地中海東岸地方との貿易のことで、イタリア商人は、イスラム商人や東ローマ帝国の商人とのつながりが強く、貴重な香辛料を独占的に販売してきた。これがイタリアに富をもたらしたこと。
第2 十字軍以降、イスラムや東ローマ帝国の文化が入りやすく、東ローマ帝国が衰退すると、イスラムの学者や文化人がイタリアに流入し、抑圧された当時の文化人に様々な刺激を与えたこと。
第3 イタリア、特にローマには遺跡や石像が多く残っていて、イタリア人は古代ローマ文化に囲まれ、古典復興の気運が高まりやすい土地柄にあったこと。


 このような理由から、イタリア=ルネサンス時代が幕を開けた。

 ルネッサンスは、音楽、絵画、建築、文学などの文化が一斉に花開いた時期であったが、日本の戦国時代のように激動の時代でもあった(上図)。イタリアの都市国家はその領主に服し、行政は教会の司教が行うことが多かったが、12世紀ころから北イタリアの都市部の商工業の発展を背景に、ミラノなどの市民(中心は商人ギルド)が自治権を獲得していった。 また周辺の農村から解放された農奴が都市に流入し、都市人口が増加し、手工業者のギルドの親方などの中産階級は、都市貴族と対立するようになった。さらに13世紀には共和政を実現させ、大商人は武力と財力で都市の権力を握り、新たな都市貴族となった。さらに大商人はローマ教皇の支持を受け、政治的独裁者が出現するようになる。

 15世紀のフィレンツェのメディチ家はその典型である。 レオナルドが拠点としたフィレンツェはルネッサンス発祥の地でもある。この街はペストの襲来を受けながらも、織物と金融で栄え、そのフィレンツェで金融業のメディチ家が台頭してきた。そのメディチ家の庇護のもとフィレンツェは一大芸術都市となる。フィレンツェだけでなく、ローマ、ヴェネツィアなど都市独自の特徴的な画派が誕生し、絵画、建築、彫刻などあらゆる芸術が発展した。

 

イタリアルネサンスの特徴として、以下のことが挙げられる。
①調和のとれた美しい画面、理想的な美の追求
②遠近法、空気遠近法、スフマート等の技法の発展
③ボッティチェリが復活させた女神の裸体表現