バダジェフスカ「乙女の祈り」


乙女の祈り

ピアノを弾き始めた頃に憧れる曲のひとつ「乙女の祈り」

メロディーは有名でも、どんな人が作ったのか知っていますか?

 

ピアノで理想のお嬢様

「乙女の祈り」は19世紀のピアノ事情と大きく結びつきながら、後世まで受け継がれる曲となりました。当時、中産階級の若い娘たちにピアノを学ばせることが流行しました。ピアノをうまく弾けることは女性にとってステータスであり、また幸せな結婚生活を願いながら男性にアピールする格好のアクセサリーでもあったのです。サロンでは弾きやすく、かつ、上品な曲が好まれました。それに適した曲が「乙女の祈り」。この曲は瞬く間に売れ、世界中で100万部のセールスとなったのです。

 

それでも書き続けた 女 ひと

この曲を作曲したのはポーランドのテクラ・バダジェフスカ。専門の音楽教育を受けていないアマチュアの作曲家であり、かつ、珍しい女性の作曲家でした。彼女は22歳の時に「乙女の祈り」を書き、楽譜を自費出版します。しかし、そこで大きな成功はつかめず、翌年、彼女は結婚し、たくさんの子供にも恵まれ、妻として、母としての人生を送り始めました。やがて、彼女の人生に転機が。パリの有名な音楽雑誌がこの作品を雑誌の付録として掲載したいと申し出たのです。掲載されるやいなや「乙女の祈り」は当時のサロン音楽の流行にのって大ヒット。しかし、それから3年後、バダジェフスカは突然亡くなりました。バダジェフスカの夫は彼女の墓を建てました。その墓の上には女性の像がありますが、それが誰だかわかりません。しかし、その左手には「乙女の祈り」と書かれた楽譜が握りしめられています。

 

女子力満載!

「乙女の祈り」は幸せな結婚生活を夢見た若い女性が男性にアピールしながら弾いたサロン音楽の象徴であり、まさに女子力満載の作品。「乙女の祈り」は、あの有名なメロディーが少しずつ変わりながら展開していく変奏曲ですが、沢山の乙女ポイントが。耳にアピール!目にアピール!そして安定感でアピール!これで意中の男性もイチコロ?!