オッフェンバック「天国と地獄」


笑って聴くとも!

フランス社会を風刺し続けた時代の寵児オッフェンバック

ユーモア精神溢れる彼が笑いに込めた思いとは!?

 

笑いで時代を映す

19世紀半ば、ナポレオン三世率いるフランスは万国博覧会をきっかけに科学技術の進歩、産業の発達でまさに黄金時代を迎えます。しかし、一方で広がる格差、風俗の乱れも問題となっていました。オッフェンバックはそんな偽善と矛盾に満ちた社会を揶揄しようと、風刺のきいた大衆的な喜歌劇オペレッタを次々に上演しました。古くから伝わる神話をパロディーにするのが得意だったオッフェンバック。「天国と地獄」も皮肉と笑いのエッセンスが大いに散りばめられた傑作で、市民から上流階級まで多くの人たちの笑いを誘いました。

 

とんちで切り抜けろ

若い頃からチェロ奏者としても活躍したオッフェンバックは見事な超絶技巧で演奏を披露したかと思えば、すぐに動物のモノマネや鳴き声を披露し、多くの人を笑いに包み込むユーモアに長けた人物でした。当時、国の規制によって演目内容や登場人物の人数に縛りがあり、オッフェンバックの劇場でも、やりたいことが何でもできるわけではなかったのです。そんな厳しい環境の中でも、オッフェンバックは持ち前のユニークな発想で「とんち」をきかせて規制を撤廃させるきっかけを作りました。

 

笑う音楽

「天国と地獄」はその台本の随所に皮肉や滑稽が入り交じり、ユーモアある作品。人々の笑いを誘う魔法をしかけています。美しいメロディーはあえて美しいシーンではなく夫婦がケンカをしているドタバタなシーンにつけ、音楽の「裏切り」によってその滑稽さを表現。また、あの有名なカンカンのメロディー部分では、様々な楽器がオモテ拍とウラ拍に分かれてリズムを刻み、表裏の絶妙な組み合わせが躍動感、楽しさ、ウキウキ感を生み出しています。スタジオでは衣良さんとゲストの新山千春さんが手拍子でオモテ拍・ウラ拍に挑戦!これまで見たことのない衣良さんのハチャメチャぶりが垣間見られた!?