シルヴィ・ギエム

 シルヴィ・ギエム(Sylvie Guillem, 1965年 - )は、フランス・パリ生まれのバレエダンサー。 100年に1人の逸材と称される現代バレエの女王。

 シルヴィ・ギエム幼少の頃より体操を習い、12歳の時オリンピック国内予選を突破するが、当時のパリ・オペラ座バレエ学校校長にスカウトされ、1976年にオペラ座バレエ学校に入学、1981年にオペラ座バレエ団に入団する。「強靭な肉体」と表現され、柔軟な体、弓のようなアーチを描く足の甲や、200度は開く開脚とジャンプが特徴である。

 1983年、ヴァルナ国際バレエコンクールにて金賞・特別賞・優秀賞の三冠を手にする。1984年、初主演の「白鳥の湖」終演直後に、19歳にして当時の芸術監督ルドルフ・ヌレエフより最高位であるエトワールに任命される。ギエムは多忙を極め、スタジオに彼女が残り、振付師と周りのダンサーだけが入れ替わるような状態が続く。1985年、ヌレエフと初来日し「白鳥の湖」(東京バレエ団)に客演する。

 1988年、オペラ座バレエ団を電撃退団。フランスでは「国家的損失」とまで言われた。同年イギリスに移り、ロイヤル・バレエ団のゲスト・プリンシパルとして活躍。フリーとして日本にも訪れるようになる。

 パリ・オペラ座時代より積極的にコンテンポラリー・ダンスに取り組む。「白鳥の湖」のオデット/オディール、「ドン・キホーテ」のキトリ、「グラン・パ・クラシック」などのクラシック・バレエはもとより、モーリス・ベジャールの「ボレロ、「シシィ」、ウィリアム・フォーサイスの「In the Middle, Somewhat Elevated」など多くの代表作を持つ。

 2015年、世界各地のファイナルツアーの締めくくりとして、12月に日本でさよなら公演を行い、12月31日にはラストステージとして「東急ジルベスターコンサート 2015-2016」に特別出演。大晦日の年越しカウントダウンで最後の「ボレロ」を舞い、テレビ東京系で生中継された。

 フランスを離れた直後は、歯に衣着せぬものの言い方から「マドモワゼル・ノン」というあだ名がついた。インタビューなどの取材や写真撮影を嫌い、出版物や情報が他のバレエダンサーにくらべて格段に少なかった。家族や兄弟についても話すことは稀で、スペイン人とのハーフだということは話している。

 無駄で不自然なわざとらしい演技を排除し、演技法について当時ロイヤル・バレエ団の首席振付家であったケネス・マクミランと衝突があった。過度に飾られた衣装を嫌い、移籍当時のロイヤル・バレエ団のダンサー達より肌を露出した衣装で踊り反感を買うこともあった。イギリスのバレエファンからは、脚を耳に触れるほど上げてそのままピタリと止める「6時のポーズ」と呼ばれる人間離れした踊り方から、その性格に及ぶまで賛否両論があったが、彼女の実力については誰もが認めるところである。

 来日回数は数十回に及び、日本文化に関心を寄せている。自作の陶芸作品を自身の写真集にも載せている。2011年の東日本大震災の際にはパリのシャンゼリゼ劇場で、チャリティ公演「Hope Japan」を開催した。福島県いわき市のいわき芸術文化交流館アリオスにて震災支援特別公演を開催した。