バルビゾン派

 バルビゾン派とは、1830年から1870年にかけ、パリの南方約60kmにあるフォンテーヌブローの森はずれのバルビゾン村に定住し、風景画や農民画を写実的に描いた画家たちをよぶ。コロー、ミレーのほか、テオドール・ルソー、ディアズ、トロワイヨン、ドービニーが代表的な画家で彼らは「バルビゾンの七星」と呼ばれている。広義にはバルビゾンを訪れたことのある画家を呼ぶことがあり総勢100人以上に及ぶ。クールベは写実主義の画家であるが、フォンテーヌブローの森を描いた作品があることから関連画家とされている。

  バルビゾン派が生まれたのは、宗教画や歴史画、理想化された風景を描く風景画に対して、野外での自然観察を重視して描く風潮が高まったことで、その背景にはパリの環境悪化、チューブ入り絵の具の普及、さらにはフォンテーヌブローの森が美林地区に指定され、鉄道が開通して往来が容易になったことがある。

 バルビゾン派の中でも、大地とともに生きる農民の姿を、崇高な宗教的感情を込めて描いたミレーの作品は日本に紹介され、農業国日本では特に親しまれた。