眠れる森の美女

眠れる森の美女

 音楽はチャイコフスキー、振付はマリウス・プティパ。

 悪魔の呪いで眠りについた姫が、王子のキスで目覚めるという、多くが知っている童話を元にしたバレエで、通常はプロローグ付3幕構成。

 


プロローグ

 フロレスタン王の宮殿では、オーロラ姫の誕生の祝いの宴が開かれることになった。やっと跡継ぎのお姫さまに恵まれたフロレスタン王は、姫の健やかな成長を見守ってもらおうと、妖精を洗礼式に招待した。妖精たちは「優しさ」「元気」「鷹揚」「勇気」「のんき」などの美徳を授けるための踊りを披露する。そこにねずみが引く二輪車に乗り、悪の精カラボスがやってくる。カラボスは自分が祝いの宴に招待されなかったことを怒ってめでたい祝いの場に乱入したのである。「私もオーロラ姫に贈り物してやるよ。姫はさっき妖精たちから贈られた美質に恵まれ、誰も見たことがないぐらい美しく成長することだろう。だけど大人になる前に、16歳の誕生日に糸紡ぎの針に指を刺されて死ぬだろう」カラボスの恐ろしい笑い声が響く中、フロレスタン王も王妃様もみんな真っ青になり、不吉な空気が立ち込めるが、その中でリラの精の凛とした声が響きました。「姫は死ぬのではなく100年の眠につくだけ。私には年長者であるカラボスの呪いを取り消す力はないが薄めることはできます。姫は糸紡ぎの針に指を刺されるが死にはしません。深い眠りにつくだけで100年たった時、ある王子が現れて姫の眠りを覚ますことでしょう」と呪いを薄めるのだった。

 フロレスタン王は「糸紡ぎを使うことを禁止する。そむいた者は死刑に処する」とおふれを出して糸紡ぎを国中から追放した。

 

1幕

 美しく成長したオーロラ姫は16歳の誕生日を迎えた。オーロラには求婚者も現れ城はめでたい雰囲気に包まれていた。誕生日の宴が始まり庭園ではたくさんの若い男女が集まり、色とりどりの花輪を持って踊り出した。輝くばかりに美しいオーロラ姫が友人に囲まれて姿を現し、姫に求婚する4人の王子たちも到着し、姫の美しさを讃えながら、姫と優雅な踊りを踊る(ローズアダージオ)。

 そこに見慣れぬ老婆が現れオーロラ姫に花を渡す。オーロラ姫は喜んで受け取り手に持ったまま踊り出した。その花には針が仕掛けてあり、指を刺されたオーロラ姫は倒れてしまう。さきほどの老婆の正体はカラボスで、カラボスは勝ち誇ったような不気味な笑い声を残し去って行った。嘆き悲しむ王や王妃の前にリラの精が現れ、王や王妃を始め、人間から動物、調度品に至るまですべてをオーロラ姫とともに眠らせた。城全体が誰にも邪魔されることなく100年の眠りについた

 

2幕

 100年の時が流れ、狩に来ていたデジレ王子がお供の貴族たちを連れて森にやってくる。デジレ王子はよい伴侶に恵まれないことに頭を悩ませていた。その王子の前に、王子の名付け親でもあるリラの精が現われ,「私があなたの憂鬱を晴らしてあげよう。世界で一番美しく魅力的な姫を知っていますよ」と言って、オーロラ姫の幻影を見せるとデジレ王子はすっかり姫の虜となってしまう。王子は幻影のオーロラ姫と踊り、オーロラ姫にひかれた王子はリラの精に導かれ眠りの森の城を訪れる。どこに城門があるのかわからない状態だったが、リラの精が魔法の杖を一振りすると、ツタやいばらはひとりでにほどけて門が現れた。すると城を見張っていたカラボスとその手下たちが姿を現すが、デジレ王子は剣を抜いて勇敢に戦いカラボスとその手下たちを退治した。

 王子は城の中へ入ってゆき、眠ているオーロラ姫を探し出し、100年の眠りを覚ます口づけをした。するとオーロラ姫は目を覚まし、オーロラ姫と共にフロレスタン王と王妃様、カタラビュット、侍女や家来たち、そして城全体が100年の眠りから目覚めたのだった。デジレ王子はフロレスタン王に姫と結婚したいと申し出ました。王は快諾し、オーロラ姫とデジレ王子の手を結ばせました。オーロラ姫とデジレ王子はみんなから祝福されて結婚の約束を交わす。

 

 

3幕

 オーロラ姫とデジレ王子の結婚式が盛大に行われた。青い鳥、長靴をはいた猫と白猫、赤頭巾ちゃんなどのおとぎ話の主人公たちが次々と訪れて祝福の踊りを披露すして2人を祝福した。リラの精も金、銀、サファイヤ、ダイヤモンドの宝石の妖精たちを連れてきて、お祝いのダンスが始まった。そしてオーロラ姫とデジレ王子が華やかで気品ある踊りみせる(グラン・パ・ド・ドゥ。こちらは1幕の初々しさとは違って大人の女性の魅力がある)。最後にリラの精が新ためて祝福した。