キュビズム

キュビズムとは
 キュビズムは立体派を表す言葉である。

 それまでの絵画が一つの視点に基づいて描かれていたのに対し、いろいろな角度から見た(多視覚)物の形を一つの画面に収め、ルネサンス以来の一点透視図法を否定した。これまでの絵画の「視覚のリアリズム」に対して「概念のリアリズム」を主張し、三次元的な現実社会を二次元に翻訳し、絵画を一つの美的存在とさせている。

 図の上段が、ルネサンス以来の一点透視図法であり、中段の多視覚の再合成により、絵画は下段のようになる。時代とともにセザンヌ的キュビズム、分析的キュビズム、総合的キュビズムに区分される。

 ルネサンス以降、多視点(複数視点)描画をはじめたのはセザンヌだとされている。このセザンヌの多視点絵画に触発されたピカソとブラックが、1907年に多視点をさらに推し進めて「キュビズム」を生み出した。20世紀の最も重要な芸術運動の一つで、ピカソの「アヴィニョンの女たち」がその最初の作品されている。

 1908年にジョルジュ・ブラックがセザンヌに感銘を受け、風景画を描き、それを見たマティスが「小さなキューブによる絵のようだ」と語ったことがキュビズムの語源になる。