献血エイズ

 【献血エイズ】昭和61年(1986年)

 昭和61年9月11日、日本赤十字社は東京・大阪などの大都市を中心に370万人の献血者を対象にエイズ抗体の陽性率を調べ、3人のエイズ患者を見いだしたと発表した。この検査は、献血血液からエイズが国内に広がることを防止する目的で行われた。

 抗体陽性率は0.0007%で、厚生省は「献血者全体に占める陽性率は低いので、献血血液への影響は心配ない」としたが、「献血時の問診の強化と、献血された全血液で抗体検査を実施する」ことを決定した。

 エイズに感染した直後は、エイズ抗体が陰性の時期(ウインド・ピリオド=約22日間)があるため、抗体検査では感染を特定できない。そのため、エイズ感染を防止するには献血時に正しく申告してもらう以外に方法はない。

 献血者のエイズ抗体陽性者は増加し、平成8年には26人、平成16年には92人となった。平成11年10月の段階で、輸血による感染が原因と思われるエイズ例が5件確認されている。平成11年からは、エイズ抗体が陰性であっても、より感度の高い核酸増幅検査が導入され、平成14年までに6例の献血血液が排除されている。

 献血という善意に隠れ、献血でエイズの検査を行うという不埒(ふらち)な者がいるが、たとえエイズ感染が判明しても感染者には告知しないことになっている。検査目的の献血やエイズの可能性のある人は、絶対献血を行ってはいけない。

 献血の検査ではエイズ感染の有無は本人に通知されないが、B型肝炎、C型肝炎、梅毒については本人に通知されている。このほか平成11年からは、成人型Tリンパ性白血病について抗体検査で異常があった場合、本人の希望があれば通知することになっている。