南光病院人体実験

【南光病院人体実験】昭和41年(1966年)

 昭和41年3月、岩手県一関市の岩手県立南光病院で精神障害者に新薬の投与実験が行われていたことが発覚した。入院患者約350人のうち42人に新薬が投与され、内服後、約20人に高熱や皮疹などの副作用でて、3人が死亡した。この事件は、南光病院の脳波技術者の解雇をめぐる裁判の過程で明るみに出た。

 てんかん患者に新薬「エピアジン」(旧吉富製薬)のほか、KBH、KBL、TX−123など神経毒性のある治験薬が投与されていた。エピアジンは、当時の厚生省が認可していた薬剤であったが、副作用が強かったため使用されていなかった。KBHは、鼻汁、よだれ、ろれつ障害、血便などの副作用があり、KBLは発汗などの副作用が、またTX−123はよだれ、手足の震えなどの副作用があった。てんかんの新薬「エピアジン」が、てんかん以外の患者にも投与されていた。

 精神病患者への投与実験は、患者には説明されておらず、院長の独断で行われていた。この投与実験を新聞が報道し、遺族が提訴したが和解となった。国会でも追及され、患者の人権が叫ばれた。