肝油ドロップ

【肝油ドロップ】昭和35年(1960年)

 肝油とはタラやサメなどの魚の肝臓を搾り、その油を凝縮したものである。肝油にはビタミンA、ビタミンDが豊富に含まれ、栄養学的に非常に優れているが、強烈な魚の生臭さと服用しにくい欠点があった。

 薬学博士・河合亀太郎は「服用しやすい肝油」の研究を重ね、固形乳剤の形でビタミンの安定を保つ技術を開発し、これを肝油ドロップと名付け、明治44年から販売を開始した。カワイ肝油ドロップは全国の小中学校へ出荷され、戦後は海外にも輸出された。

 肝油ドロップは改良され、昭和35年から缶入りの肝油ドロップが発売された。味や安定性などの改良が重ねられ、現在では魚油からの凝縮ではなく、ビタミンAはレモングラスというイネ科の植物から、ビタミンD2はビール酵母やシイタケなどから抽出されている。

 かつては学校に行けば、肝油ドロップをもらえるという楽しみがあった。肝油ドロップは現在でも薬局で買うことができる