ハイシー発売

【ハイシー発売】昭和36年(1961年)

 昭和36年、武田薬品工業は新しいタイプのビタミン剤「ハイシー」を発売した。ハイシーはビタミンC(1錠に50ミリグラム)を含み、しみやそばかすなどの色素沈着を抑制すると宣伝された。しみ、そばかすの原因になるのはメラニン色素である。紫外線を浴びた時に、体内のチロシンというアミノ酸が黒色メラニンに変化し皮膚を黒くするとされている。

 ビタミンCは黒色メラニンをつくる酵素の働きを抑え、また黒色メラニンを無色のメラニンに変化させ、しみ、そばかすを緩和するとされている。ハイシーは若い女性をターゲットに15錠入り400円で発売された。女性の肌への関心は強く、ハイシーは売り上げを急増させた。

 皮膚をきれいにする薬剤としては、ハイシーよりもエーザイの「チョコラBB」の方が歴史は古い。昭和27年に発売されたチョコラBBは皮膚の代謝をよくするビタミンB2を主成分に現在でも販売されている。

 また薬剤ではなく、果物に含まれるポリフェノール、野菜に含まれるベータカロチンにもメラニン合成を抑える働きがあることが注目されている。これらの薬剤の効果はあるのだろうが、お肌のためには、ストレスや不規則な生活を避けることがより必要であろう。