ロスコ


マーク・ロスコ

Mark Rothko (1903年 - 1970年)はラトヴィア共和国のドヴィンスク(当時はロシア領)生まれ。ユダヤ人迫害を受け、1910年アメリカに移住。22歳で画家を目指すが、長い間、評価されずにいた。

 初期のシュルレアリズムから抽象表現主義に移った。ロスコは自分が描いている作品について次のように説明をしている。「絵画でイメージを表現するには、悲劇的でロマンティックな美術に、死に対する明瞭な関心を持つことである。そして世界と具体的に交わるための官能性 、存在するものに対する欲望、葛藤あるいは欲望の抑制としての緊張、ひとが何か別のものに至るために必要な自己滅却。人間的要素としての機知と遊び心、さらにははかなさと偶然性、悲劇的な観念を耐えるためのわずかな希望」と述べ、死と魂をめぐる思想は、彼の作品に大きな影響を与えていた。
「カラー・フイールド・ペインテイング」 と呼ばれる作品群があり、それは限られた色数で塗られた巨大な画面が特徴である。 ロスコは色面を通して悲劇、恍惚、運命という人間の根源的な感情を表現することに興味をもった。 巨大な色面で人間の感情を表現した画家である。

 ロスコは芸術のための芸術、装飾的で主題の喪失した抽象主義と同じに扱われるのを嫌った。彼の作品は単純そうに見えるが、輪郭を失い、帯状の色は透けて見え、色にむらがあり、色相を失いながらも微妙な変化している。それは感情にも様々な表情があるのと同じで、宗教的な奥の深さを感じさせる。ロスコは「私は悲劇、忘我、運命といった人間の基本的な感情を表現することだけに関心がある」と言っている。ロスコは巨大なキャンバスの上端に暗い色を配することが多く、それは彼を苦しめた抑鬱症を象徴していた。しかし後年には、色と冒険、情熱に支配された絵を描くようになった。

 67歳時、ヒューストンの教会の壁を完成させた自殺している。20世紀を代表するアーティストとされ、2015年の美術オークションで彼の作品「No. 10」が史上最高額97億6000万円で落札された。日本では千葉県佐倉市郊外にあるDIC川村記念美術館(私立)に彼の作品が展示されている。